前回から引き続き、美しい立ち居振る舞い(所作)について記載致したいと存じます。
椅子に着席する際、ウェイター(案内係)がいらっしゃる時は勝手に椅子に掛けずに、ウェイターがひいてくれた椅子に腰掛けましょう。椅子の位置を確認するように振り返りながら座るのは美しくありませんので、真っすぐ座りますが、スカートの後ろ等を手で押さえて座るのは避けたいものです。
椅子に座る時は、椅子の左側(下座側)に立ちます。左足を前に一歩出し、右足を左足につけながら椅子の前に置き、左足を右足に付ける。立ち上がる時はその逆で、左足を椅子の左側に出し、右足を左足に付けながら椅子の横に、左足を右足に揃える、という形(スリーステップ)の要領で、椅子の立ち座りを致しましょう。
握手は女性が男性に求めていきますが、イブニングドレスを着用している場合は、手袋をはめたままで握手を致しましても大丈夫です。ドレスの袖の長さと手袋の長さが合わないのは妙な装いとなりますので、ドレスの袖の長さに合わせた手袋をお勧め致します。相手の顔を見て、にっこりとし、決して床を見ずに、浅い礼(会釈)を致しますと、より品性が見受けられます。
防寒コートや雨コート、ブレザー等、上着を脱ぐ時は、脇を閉めて、人がいらっしゃる方の片膝を少し曲げ、曲げた袖の方から上着を落とすようにずらして、反対の手で袖口を引っ張って脱ぎ、その逆も同じように、曲げた袖を落とすように袖を引っ張って脱ぎ、片手で袖口と袖口を持ち、上着を包み込むように三つ折りにしてたたみます。
どなたかに声をかけられ、振り向く時は、首だけクルっと回すのではなく、身体全体を相手の方に向け、声をかけられた相手と目が合ったら、浅い御辞儀(会釈)をし、しなやかな動作を心掛けましょう。せわしなく、バタバタせず、ゆったりと行動致します。
物を示す時は一本指で指すのではなく、手の平を上に向けて、指先を閉じて、手の平全体で指しましょう。手の平は卵を乗せているイメージですると、より一層品性が見受けられます。
これらは全てムダな動きに見えるのですが、人のいらっしゃるところでは、ムダな動作をすることにより、品があって綺麗に見えるものです。ということは、人を惹きつけます。美しい仕草は公と私のけじめを心掛けて、人のいらっしゃる時は、徹底してムダなことを致しましょう。これぞ、“ムダの魅力学”。あなたの楽しい時間をもっと楽しく過ごす為にも、面倒くさがらず、品、品性、品格が見えることが美しい仕草となります。